刑事事件コラム(刑事弁護)

示談とは|刑事事件での示談について

刑事事件コラム(刑事弁護)

目次

・刑事事件における示談とは

・示談交渉を始めるタイミング

・反省の弁を述べる

・示談交渉は弁護士に依頼を

・示談書には何を書くのか?

・示談が成立しない場合とは?

・刑事事件で示談をすれば起訴されずに済むのか?

・示談が成立しなかった場合は民事裁判になるのか?

 

 

【刑事事件における示談とは】

示談とは、加害者と被害者が損害賠償について合意するということです。刑事事件の被害者は、民事上では不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を持っています。

被害者が加害者に損害賠償請求をする場合の、話合いによる解決方法が示談です。

他の解決方法としては民事裁判があります。

示談は加害者からも被害者からも双方申し入れることができます。

なお、示談を行うということは、ほとんどの場合、罪を認めることです。つまり加害者が加害行為を行ったことを認め、これに対する償いとして賠償金額を支払うものなので、無罪を争っている場合には示談を行うことは原則としてありません。

しかし「結果として迷惑をかけた」ということに対して示談を行いたいという申し出をすることはあります。ただ、この場合、被害者が示談に応じることは少ないと思われます。

 

◇示談することのメリットとは

加害者の場合:示談成立により、被害者の被害回復がなされると、それを勘案して、警察の捜査(打ち切るか継続するか)、検察の処分(起訴か不起訴か)、裁判所の判断(執行猶予を付けるか)などの刑事手続きに大きな影響を与えます。

被害者の場合:判決前の示談の場合は、より有利な条件(金額面など)で行うことができる可能性があります。例えば、窃盗、横領などの財産犯罪であれば起訴前の示談成立により不起訴となる可能性があり、起訴後であっても判決が軽くなる可能性があります。したがって、加害者はより譲歩する可能性があり、被害者にとっては有利な条件を得ることになります。

 

◇示談することでのデメリットとは

加害者の場合:賠償金の支払い義務を負うことなどです。

被害者の場合:どうしても処分は軽くなり、あくまでも重い処罰を望むこととは矛盾します。

 

 

【示談交渉を始めるタイミング】

事案に応じた適切なタイミングで示談の申し入れをすることが大切です。

逮捕され、かつ示談により検察の処分が軽くなる可能性のある犯罪の場合は早期の示談が望ましいと思われます。何故なら、逮捕後に起訴されるか不起訴になるかが決まるのには、23日間という時間制限があるので、不起訴処分を望む場合はこの期間内に示談を成立させる必要があります。

 

 

【反省の弁を述べる】

加害者は反省の気持ちを持つことが大切です。

被害者にしてみれば、まずは謝罪をして欲しいと考えるのが当然のことなので、謝罪の気持ちきちんと伝えることが大切です。加害者が言い訳をしてしまうと、かえって被害者の気持ちを逆なでし、傷つけてしまい、その結果示談に応じてもらえないということも起きる可能性があります。

示談に先立って加害者は反省文を書き被害者に読んでもらうことも一つの方法です。反省文は真摯に反省していることが分かるように書きます。加害者の謝罪を被害者が受け入れるということなら、示談交渉に入ります。

 

 

【示談交渉は弁護士に依頼を】

ほとんどの被害者は加害者に会うことを拒否します。会いたくもないというのが被害を受けた人の本音です。ですから示談交渉は弁護士に任せる方が良いのではないかと思われます。

交渉を何回か重ね納得いくまでの話し合いができ、互いの主張の中で合意できる内容が決まったならば示談書を作成します。ただし仮に、互いの主張に距離があり過ぎると話し合いがこじれてしまい合意できないということもあり得ます。

 

 

【示談書には何を書くのか?】

一般的には次のような条項はいれることになります。

1 加害者は事実を認めて謝罪し、被害者はこれを受け入れるという内容

2 賠償金の金額、支払方法

3 できれば宥恕、最低でも被害届取下げ

4 精算条項

ケースバイケースですので一概には言えませんが、大よそ上記のような内容を書くものと捉えていただければと思います。

また、作成する示談書には、代理人弁護士が署名押印して示談書を交わせばよいので、相手に自分の住所を知られる心配はありません。

 

 

【示談が成立しない場合とは?】

▪被害感情があまりに重く、お金なんか要らないから厳しく処罰してくれという被害者は示談には応じません

▪被害者からの要求が過大であるために、示談が成立しない場合もあります。

▪被害者が示談には応じすに、損害賠償を請求する民事裁判を行う場合があります。被害者は民事裁判を行うことで、加害者に責任を自覚させることができるとして示談ではなく裁判を選択するということです。ただし、判決では、それまでの裁判例から賠償金額が決められることになるため、示談の場合よりも低い金額になることが多いと思われます。

 

 

【刑事事件で示談をすれば起訴されずに済むのか?】

刑事事件において示談をしていれば、検察官による処分、処罰の程度が軽くなるということがあります。

■名誉棄損罪、侮辱罪、過失傷害罪、器物損壊罪、信書開封罪などの場合は、示談成立により警察の捜査が打ち切りとなります。

これらの犯罪は親告罪と言います。親告罪は告訴がないと処罰(起訴)できないことになっています。ですから、親告罪で「起訴前に」示談が行われ被害者が告訴を取り消すと、検察は起訴できないので、不起訴処分となり、警察の捜査が打ち切りとなります。

そうなると、逮捕されていた場合にはすぐに釈放されます。逮捕されていない場合には、その後は警察からも検察からも呼び出しをされることはなくなります。

ですから、親告罪では、起訴前にご相談をいただくと、弁護士は、被害者の方と示談交渉を行い、告訴を取り消してもらうべく努力します。これらのケースでは、示談には重要な意味があることになります。

親告罪で起訴後に示談が成立し告訴の取り消しがあった場合は、裁判はそのまま行われますが、多くの場合執行猶予付きの判決を得ることができます。

また、告訴の取消をさらに取消すことは法律上認められていません

 

■窃盗罪、横領罪、詐欺罪などの場合は、示談成立により警察の捜査が打ち切りとなる可能性があります。これらの財産を奪う犯罪では、親告罪とは違い、示談成立により必ず警察の捜査が打ち切りとなるわけではありませんが、その可能性は高くなります。

なぜならこれらの場合は、示談を行うことによって被害の回復を行うことができるので、被害が回復すれば、被害者は加害者の処罰までは求めない、としてくれることがあるからです。すると弁護士は、示談書の中に「示談が成立したので、処罰は求めない」という文言を入れます。

検察は、被害者の意思を重視して起訴・不起訴の判断をしますので、示談の有無、被害者が処罰は求めないとしているかどうかは、検察の判断に影響を与える可能性が高くなります。

また、仮に起訴となった場合でも、示談成立により判決が軽くなることがあります。

 

 

【示談が成立しなかった場合は民事裁判になるのか?】

民事裁判になる可能性が高いと思われます。逆に示談が成立していれば民事裁判は起こされません。

何故なら、示談書内の、「第一項で書かれた内容以外では債権債務がお互いにないことを確認する」と書きますので、これはもう、民事裁判はしないと書いてあるのと同じことですので、示談が成立していれば民事裁判にはなりません。