刑事事件コラム(刑事弁護)
有罪率99.9%について
「有罪率99.9%」
嵐の松潤が主演したドラマで使われた数字です。
確かに、刑事裁判においては、ずっとこの有罪率が維持されています。裁判官が検察官の言いなりになっているわけではありません。検察庁では、「無罪となる可能性がある場合には起訴しない」という方針が徹底しているからなのです。
一方、不起訴率についてはどうでしょう。罪名により異なりますが、全体を見れは不起訴率は結構高いものです。
不起訴を目指す弁護活動により、不起訴となれば前科とはならず、元の生活に戻ることができます。ですから、早い段階でご相談いただき不起訴を目指した弁護活動をすることが大切です。
以下に、不起訴になり得る場合について、各罪名別に説明します。
【覚せい剤規正法違反の場合】
■証拠が足りない嫌疑不十分という理由での不起訴ならあり得ます。
例えば、逮捕しないまま長時間拘束したなどの、重大な手続き違反が警察にあった場合は嫌疑不十分での不起訴になります。
■とても稀なケースですが、他人に強要されて、又は知らないうちに覚せい剤を摂取した場合は、それを証明できれば、嫌疑なしという理由での不起訴となります。
■覚せい剤の場合は、起訴猶予という理由での不起訴はほぼありません。
大麻の場合、所持している量が少ない場合は起訴猶予による不起訴になることがあります。
【業務上横領罪の場合】
業務上横領事件の場合、被害者の意思を最も重視して、検察は起訴・不起訴の判断をしますので、示談が成立し、示談書の中に「示談したので、加害者の処罰は求めない」という文章を入れられると、不起訴とすることが多くなります。
【傷害罪の場合】
怪我をさせた手段が何であったかということ、その結果どの程度の怪我を負わせたかによって、不起訴となるかが違ってきます。
■怪我の程度が全治2週間以内であれば、起訴猶予という理由による不起訴となる可能性があります。ただしこの場合、最低でも被害者との示談が成立している必要があります。
■怪我の程度が2週間以内であっても、凶器を使っている場合には不起訴とはならず、罰金となる可能性が高くなります。
■怪我の程度が全治1か月以内、且つ凶器を使わず、被害者との示談が成立していれば、起訴猶予という理由での不起訴の可能性もあります。
■怪我の程度が全治1か月を超えると、起訴猶予という理由での不起訴の可能性はほとんどなくなります。