刑事事件コラム(刑事弁護)
執行猶予にしてほしい
目次
・執行猶予とは
・執行猶予中の制限や影響について
・執行猶予が認められる手目の要件とは?
・検事経験を活かして
【執行猶予とは】
執行猶予とは、刑務所に入れるよりも社会内で生活しながら反省させた方が、再犯防止に役立つという考え方から認められているものです。
ただし、犯した罪があまりにも大きい場合には執行猶予が認められることはありません。たとえば、殺人で執行猶予が認められることはほとんどありません。
つまり、反省し、自分を律しながら暮らし、執行猶予の期間が無事に過ぎた場合、その事件について刑務所に入ることはなくなります。
ただし執行猶予は有罪判決であり前科がつきます。
【執行猶予中の制限や影響について】
保護観察付きでない執行猶予の場合は、基本的には仕事や旅行などに何の制限もありません。
ただし、禁固以上の刑を受けたことにより資格を失うことがあります(医師、薬剤師など)。また、公務員では懲戒免職の対象となります。
引っ越し、旅行などでは何の制限もありません。ただし、海外旅行の場合、国によってはビザが下りない場合がありますので、事前に、行きたい国の大使館などに確認した方が良いでしょう。
保護観察付き執行猶予の場合は、月に1回程度、保護観察官あるいは保護司との面談が義務付けられることになります。この月に一度の面談において、判決で定められた順守条件を守っているのかなどを定期的に確認されます。もし、条件に違反していることが確認されると、執行猶予が取り消されて服役することになる可能性があります。
【執行猶予が認められるための要件とは?】
■判決で言い渡される刑が、懲役(禁錮)3年以下、または罰金50万円以下であること。
■5年以内の前科がないこと
■執行猶予期間中でないこと
その上で、社会内での反省をさせることの方が刑務所に入れるよりもよいということを証明することになります。
そのためには、
■十分に反省していること
■社会内で監督する者がいること
この2条件は是非とも必要ですが、その他にも、その人の置かれた具体的な状況によって主張できることが違ってきます。
【検事経験を活かして】
私は元検事の弁護士であり、検事生活26年のほとんどを捜査・裁判の現場で過ごしました。
ですから、執行猶予を得るために、上記の条件の上で、裁判官に対して具体的に何をどう訴えれば良いのかを熟知しており、適切な弁護活動をすることができます。
罪を認めている場合は、執行猶予を勝ち取るべく力を尽くします。
また、地方裁判所での裁判で、執行猶予のつかない有罪判決を受け、実刑となってしまい、その判決に納得ができないという場合もあるかと思います。
そのような場合には、執行猶予を得るために高等裁判所での裁判をすることを要求できます。高等裁判所での裁判を控訴審といいます。つまり控訴審ではもう一度だけ試行猶予を求めてリベンジできるわけです。
控訴審である高等裁判所での裁判は、高等検察庁の検事が担当します。
私は高等検察庁勤務の経験もあり、高等裁判所での控訴審を検事の立場で経験しましたので、控訴審でどのような弁護活動を行えば執行猶予を得ることができるかについても、豊富な経験と知識を持っています。