刑事事件コラム(刑事弁護)
傷害罪の罪の重さ|罰金又は起訴猶予の可能性は
目次
・傷害を負わせた手段と結果により検察の処分が異なってくる
・手段について
・結果について
・弁護士にできる限り早く相談
・検察官の経験を活かした適切な弁護活動
【傷害を負わせた手段と結果により検察の処分が違ってくる】
一口に傷害罪といっても責任の大きさ、つまりどんな刑に処せられるのかは、その手段と結果によって大きく違ってきます。
手段でいうと、素手で殴るというものから、包丁で刺すというような凶器を使うものまで様々です。
結果でいうと、全治3日の打撲傷といった軽傷から、全治不明の脳挫傷のような重傷までいずれも傷害罪です。
このように、傷害罪では、手段と結果が多様なので、同じ傷害罪でも責任の重さが大きく異なることとなるのです。
【手段について】
まず手段から考えると、素手で殴った場合より、重い怪我を負わせる可能性のある、刃物のような凶器を使った場合は責任が重くなります。また、同じ刃物でも、包丁と果物ナイフでは包丁の方が重くなることが多いといえます。
刃物の場合、その使い方も問題となります。刺す方が切るよりも重い怪我となることが多いからです。
ですから、たとえ全治1週間の怪我であったとしても、包丁で突き刺したという場合であれば厳しく評価されることになります。
【結果について】
次に結果から考えると、『2週間』『1か月』というのが大よその基準となると思われます。
怪我の程度が全治2週間以内であれば、起訴猶予の可能性があります。ただし、起訴猶予となるためには最低でも被害者との示談が成立している必要があります。また、怪我の程度が2週間以内であっても、凶器を使っている場合には罰金となる可能性が高くなります。
怪我の程度が全治1か月以内となると罰金の可能性があります。しかしこの場合でも、被害者との示談が成立していて凶器も使っていなければ、起訴猶予の可能性もあります。
怪我の程度が全治1か月を超えると、起訴猶予の可能性はほとんどなくなり、最低でも罰金、通常は正式裁判となると思われます。
【弁護士にできる限り早く相談】
このように、傷害罪は、怪我を負わせた手段と怪我の程度によって、どのような処分になるのかが左右されます。ですから、人に怪我を負わせてしまった場合には、刑事事件の実務に詳しい弁護士にできる限り早く相談し、怪我の程度と取った手段に応じた弁護活動を依頼する必要があります。
傷害罪の場合、身体に対する犯罪なので、被害の回復ということが考えられません。つまり、怪我はいつかは治るとしても、元の体を取り戻すことはできないからです。
ですから、財産犯罪 ほどには、示談の有無(=被害弁償をしたかどうか)は検察の処分に影響を与えません。しかし、怪我の程度が低ければ低いほど、示談成立によって検察の処分が一段軽くなる可能性があります。
「処分が一段軽くなる」というのは、「正式裁判を請求される」⇒「略式起訴となり、裁判は開かれずに、罰金を払うだけで済む」ということです。
【検察官の経験を活かした適切な弁護活動を行】
私は元検事の弁護士であり、検事生活26年のほとんどを捜査・裁判の現場で過ごしました。検察官がどのような総合評価をして『起訴猶予という理由による不起訴処分』にするのか、検察官に対して具体的に何をどう訴えれば良いのかなどを熟知しており、適切な弁護活動をすることができます。
傷害事件を起こしてしまうと、いったいこの後どうなるのか、今後どうしたらよいのか、被害者に対してどのように対応したらよいのか、警察の事情聴取を受けるのだろうか、など分からないことが多く大変苦しいことと思います。先ずはご相談ください。早めにご相談いただくことで、より良い対応をとることができます。どう対応すればよいのかはケース毎に異なりますので、あなたの事案に適した対応についてお答えします。
弁護士に依頼した場合、一般的にどのような弁護活動により不起訴を目指すのかについては、前科をつけたくない|不起訴にしてほしい (←こちらをクリック)をご覧ください。