刑事事件コラム(刑事弁護)
一部執行猶予の判決とは
刑事事件コラム(刑事弁護)
■一部執行猶予とは、刑の一部だけを執行猶予とする制度です。
例えば、「被告人を懲役2年に処する。その刑の一部である懲役4月の執行を2年間猶予する」という判決であったとします。
これは、2年間の懲役を、1年8か月と、4か月に分け、1年8か月は実際に服役し、その服役後に4か月の執行猶予期間である2年間がスタートします。
執行猶予が取り消されないでこの2年間の猶予期間が満了すれば、4か月分の懲役は執行されないことになります。
■一部執行猶予判決のためには以下のアからウの条件が必要です。
(ア) 前に禁錮以上の判決を受けて服役していないか、あるいは、刑の執行が終わった日から5 年以上経過していること
(イ) 判決で言渡す刑が、3年以下の懲役または禁錮刑であること
(ウ) 情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために、一部執行猶予が必要であり、かつ、相当であると認められること
(ア)と(イ)は、客観的に決まってしまいますが、(ウ)はケースバイケースということになります。
なお、覚せい剤のような薬物事犯だけは(ア)の条件がありません。
つまり、薬物犯罪では、どんな前科があっても、判決で3年以下の刑を言い渡す場合であれば一部執行猶予とすることができるということです。
ただし、薬物犯罪で一部執行猶予とする際には必ず保護観察付とされます。