解決事例

覚せい剤の使用罪と譲渡罪で執行猶予獲得

解決事例

ご相談内容

依頼者は、仕事先の知人から覚せい剤入手を依頼されたので、地元の友人から覚せい剤を買い、これを知人に転売していたところ、知人が覚せい剤使用罪により逮捕され、結局依頼者様も逮捕・起訴されました。

 

解決経過

依頼者様は事実を認めていたため、弁護活動の中心はどうやって執行猶予を得るかということでした。執行猶予を得るためには、第1に真摯に反省していること、第2に再犯の可能性がないこと、第3に社会内での更生が可能であるし、矯正施設に収容されることでかえって更生の妨げとなるおそれがあることの3点を裁判所に納得してもらう必要があります。
第1については、依頼者様は、捜査段階において覚せい剤入手先について隠すことなく正直に供述していることが確認できましたので、そのことを被告人質問などで明らかにすることにしました。
第2については、覚せい剤とのかかわりを断つ方策として薬物依存治療専門病院への通院、薬物使用者更生施設での研修など考えられる全てを実際に行ってもらい、それらを証拠化しました。
第3については、依頼者様の会社同僚に証人となってもらい、依頼者が会社の経営には欠かせない人であることなどを、さらに依頼者様の奥様にも証人となっていただき、家族全体で依頼者様を監督しつつ支えていきたいということをそれぞれ証言してもらいました。
その結果、無事執行猶予付きの判決を得ることができました。

 

覚せい剤事件は、前科もなく単なる使用罪であれば、ほぼ間違いなく執行猶予付きの判決となりますが、譲渡罪の場合、覚せい剤の害悪を社会に拡散したという点が重く見られますので執行猶予がつかない実刑判決となるケースがほとんどです。しかも、今回のご依頼者様のケースでは、譲渡回数も1回ではなく、1年以上にわたって多数回でした。その上、依頼者様は、自分でも覚せい剤を使用するようになっていました。
依頼者様は、是非とも執行猶予付きの判決を得たいということでご来所され、弁護人としての活動が始まりました。
執行猶予がつくか否かぎりぎりのケースでしたので、やれることは全部やるという方針で裁判に臨みました。書証は、薬物依存治療施設への通院記録、薬物使用者更生施設での研修受講状況など10点以上の証拠を提出しました。証人も2人とし、それぞれ役割を異にしながら依頼者様を監督しつつ支えるということを訴えました。
こうした弁護活動を行うためには、まず本当のことを正直に話していただく必要があります。その意味で今回はご依頼者様の資質にも恵まれました。