刑事事件コラム(犯罪被害)

犯罪の被害に遭った場合

刑事事件コラム(犯罪被害)

目次

・被害届と告訴の違い

・示談の申し入れがあった場合

・被害者参加制度について

 

【被害届と告訴の違い

被害届と告訴は、実質的には同じ効果をもたらします。

まず、告訴とは、被害者が警察などの捜査機関に対して犯人の処罰を求めること、つまり捜査を始めてもらうことです。法律では、誰でもいつでも告訴できることになっています。

次に、被害届とは、被害者が犯罪による被害を受けたことを捜査機関に届け出ることです。犯人を処罰して欲しいからこそ捜査機関に被害届を出すのでしょうから、実質的には、告訴と被害届とは同じく犯人の処罰を求めるということになるわけです。ですから、捜査機関では、名誉棄損などの親告罪(告訴がないと処罰できない罪)についても、被害届が出されていればこれを告訴とみなすという扱いもされています。

捜査機関は、告訴あるいは被害届を受け取ると捜査を開始しなければなりません。しかし、捜査の開始決定は慎重に行われます。なぜかというと、第1に、捜査が始まると対象となる人(犯人)の人権は制約されることになり、第2に、捜査機関にも人的・物理的制約がありますから、できる限り無駄な捜査は行いたくないからです。

したがって、捜査を開始するには、被害が本当にあったこと、その被害と犯人とを結びつける証拠が何かしら存在することが必要となります。

たとえば、殴られてけがを負わされたという被害届であれば、最低でも診断書を添えることが必要となるでしょう。事案ごとに、どのような証拠があれば捜査が開始されるのかについては、専門家でなければ判断が難しいと思いますので、捜査機関に行く前にご相談をいただきたいと思います。警察捜査の手法を熟知している私にご相談いただければ,的確なアドバイスを差し上げることができますし,告訴状作成のお手伝いをさせていただくこともできます。

 

【示談の申し入れがあった場合

弁護士に依頼しますとすべて弁護士が相手方と連絡を取りますので、一切あなたの住所・電話番号などが、加害者に知られる恐れはなく、加害者の弁護士にも知られずに示談交渉を行うことができます。

示談交渉はご自身でもできますが、後日、示談内容について争いが起きる場合もあります。また、交渉相手が弁護士である場合は、以下のように、知らないうちに不利な内容とされてしまうこともあります。弁護士に依頼すればこうしたリスクを回避することができます。

加害者に弁護士がついている場合、法律用語や難しい言葉にごまかされないように注意することが必要です。弁護士が作る示談書は、法律的観点から遺漏のないようにするのでどうしても難しくなります。

また、あえて難しい言葉を使って加害者に有利にしようとする弁護士もいます。例えば、「被害者は加害者を宥恕する」という言葉を入れることがあります。「宥恕」といわれてすぐにその意味が分かる人はそう多くはいないのではないでしょうか。これは、平たく言うと「許す」ということです。「許す」と書いてしまうと、被害者には抵抗感があるだろうということであえて難しい言葉を使うのです。

そもそも、示談して損害賠償金を受け取ることに合意しても、相手を許す必要はありません。損害賠償権を行使することと、許すということは別のことです。許す気持ちであるなら、示談書に「許す」という言葉を入れますが、許す気持ちになれない場合は、この言葉を入れずに示談をします。

犯罪は、民事上では「不法行為」(民法709条)ということになります。これにより、被害者は、加害者に対して民事上の損害賠償請求権をもちます。示談とは、この損害賠償請求権についての合意です。つまり、示談をして賠償金を受け取るということは被害者の権利なのです。権利を行使するだけなのですから、それに「許す」といった条件を付ける必要はないのです。

賠償金額は、それぞれの事情によって大きく異なります。被害の程度、後遺症の有無、犯罪行為の程度(故意か過失か、行為の悪質性など)などは、それぞれのケースで違うからです。したがって、賠償金の「相場」というものはありません。交通事故の賠償においては、これまでに積み重ねられた事例を基にして賠償金計算方法についての基準が作られていますが、交通事故以外の犯罪においては、そのような基準は存在しません。ですから、加害者に対していくら請求するのかということについては、それぞれの事情に応じて判断するしかありません。

私は検事として多くの事例に関わり、刑事事件の実務に精通していますので、あなたにとってベストの示談交渉を行うことができます。ぜひ、ご相談ください。

 

被害者参加制度について

2008年にできた「被害者参加制度」を利用すれば、被害者の方、被害者が亡くなっていらっしゃる場合にはご家族の方が、様々な形で刑事裁判に関わることができます。

まず、裁判が始まる前に、検察官が裁判所に提出する予定の証拠を見せてもらうことができます。

裁判では、傍聴席ではなく検察官の横に座ることができます。つまり、民事裁判と同じように「当事者」として裁判に参加できます。証人尋問や被告人質問においては、その場で検察官に依頼してご自分が尋ねたいことを質問することもできます。

そして、検察官が行う「論告」(検察官の最後の主張でといった求刑を行うものです。)に加えて、ご自身の気持ちを裁判官に直接訴えることもできます。このときには、検察官の論告とは別に「求刑意見」を言うこともできます。求刑意見とは、「無期懲役にして欲しい」あるいは「懲役○○年にして欲しい」といった具体的なものでも、「二度と私の前に現れることのないように長く刑務所に入れて欲しい。」といったものでも構いません。

お一人で検察官の横に座って参加することが不安な場合は、弁護士が付き添うことができます。また、法廷に出て犯人と顔をあわせることになるのは嫌だと思われる場合は、弁護士が、あなたの代理人として法廷に出て、あなたの意見を代弁することができます。

私は検事の立場からこの制度に関わった経験があり、この制度についてよく知っていますので、ご相談いただきましたらお役に立てることと思います。