刑事事件コラム(刑事弁護)

検察庁から呼び出されたら|取調・事情聴取

刑事事件コラム(刑事弁護)

目次

・検察官による取調・事情聴取とは

・処分を決めるための取調

・検察庁での取調はどのように行われるのか

・検察官からどのようなことを聞かれるのか

・裁判での供述調書の証拠能力、信用性について

・送検後、弁護士は検察官に働きかけます

・26年の検事経験を活かして

 

【検察官による取調・事情聴取とは】

警察は、証拠をそろえた上で、検察庁に事件を送ります。これを「送検」といいます。

送検には、「身柄付き」と「在宅」があります。身柄付きとは逮捕している場合で、在宅とは逮捕しない場合です。

検察官は、送検があると、まず、警察での取り調べの際に作成された被疑者(加害者のことです)、目撃者、参考人、被害者、などの供述調書を読み、証拠品を検証し、事件の全容を把握するよう努めます。

そして、検察官が必要であると判断すれば、警察に対して補充捜査を指示するとともに、検察官自身で被疑者の取調べや、目撃者、参考人、被害者などからの事情聴取を行います。

 

【処分を決めるための取調】

検察官が、こうしたことを行うのは、事件の処分を決めるためです。そもそも、被疑者が犯人であるのかどうか、犯人であるとして正当防衛などの事情はあるのか、処罰する必要があるのか、処罰するとしてもどのような処罰とするのかなどを決めるためということです。

在宅事件の場合、検察官は、被疑者を呼び出しますが、その際、プライバシーを不当に侵害しないように気を付けます。例えば、痴漢事件で、家族にも話していないような場合には、はがきで呼び出すと家族にばれてしまいますから、電話で呼び出します。

電話の際にもいきなり検察庁であると名乗らず、本人であることを確認してからにするなどしています。

また、取調日時についても、ある程度は希望を聞いてくれます。はがきでの呼び出しの場合は、日時が書いてありますが、どうしても都合がつかないようであれば電話して変更をお願いすることもできます。

 

【検察庁での取調はどのように行われるのか】

検察官による取調は、通常は個室で行われますが、大部屋(といっても検察官が3名程度)の場合もあります。警察の捜査からの影響をなくすために、捜査担当の警察官が同席することはありません。(身柄付き事件では留置場管理担当の警察官は同席します)

検察庁でも供述調書を作ります。検察官が被疑者の目の前で口述し、これを検察事務官がパソコンで打ち込みます。最終的には、印刷して読んでくれます。

この最中、つまり検察官が口述している最中であっても違うことは違うと言えます。供述調書を印刷した後でも、同様に違うことは違うと主張することができますので、注意深く聞いて、安易に妥協しないようにすることをお勧めします。

しかし、印刷された調書に署名してしまうと後戻りができなくなります。ここは重要です。署名捺印する前に、しっかりと供述調書の内容を確認することが大切です。

 

【検察官からどのようなことを聞かれるのか】

最初に必ず、事実を認めるのかどうかということを聞かれます。

自分が確かに犯罪を行ったと認めると (自白)、なぜやったのかなど犯罪事実について聞かれます。

犯罪を認めない場合 (否認) は言い訳を聞かれます。

ひとしきり言い訳を話し終えると、次にはその言い訳が、証拠品、参考人、目撃者などの証言と矛盾している点を聞かれます。

取調の仕方は、検察官によりまちまちですし、事件、ケースに応じて被疑者に尋ねる内容は異なります。しかし、私は長年の検事経験から、検察官がどのような問題意識で取調べに臨むのかを熟知していますので、検察官による取調の際のアドバイスを的確に行うことができます。

 

【裁判での供述調書の証拠能力、信用性について】

裁判で供述調書の証拠能力、信用性が争われる場合、検察官の供述調書の方が、警察官の供述調書よりも、証拠能力、信用性が高く評価されるように法律で決まっています。

しかしこれは、被疑者以外、つまり被害者、参考人、目撃者の証言に関しての話であり、被疑者の供述調書は、警察のものと検察のものと変わりなく同等に裁判で評価されます。

ですから被疑者が検察庁での取調の際、警察での供述調書の内容と異なる供述をし、警察の供述調書とは異なる内容の供述調書が作製された場合、同等の証拠能力、信用性のある、異なる内容の供述調書があるという評価を裁判でされます。すると、どっちが本当なのか、ということになり、被疑者本人が信用できない人である、という評価を裁判でされてしまう可能性があります。

万一、警察での取り調べで、あなたが記憶している事実と違う供述をしてしまい、署名捺印をしてしまったのなら、検察官に事情を話し、それを覆す内容を検察官に話し、別の内容の供述調書を作成して訂正してもらうことができます。しかし、最初(警察での供述)と違う内容であるとして、検察官に信用されない可能性がありますし、前述のように裁判でも信用されない可能性があります。

ですから、警察での供述調書の内容が、自分が記憶している内容と違っていたら、供述調書が作製された後でも、署名捺印を拒否すべきです。署名捺印をしなければ、その供述調書をなかったことにできます。

 〈参考〉供述調書にサインしない|事実と少しでも違っていたら

 

【送検後、弁護士は検察官に働きかけます】

弁護士は、検察官が行う総合評価作業に際して、依頼人にとって有利となる証拠を適正に評価してもらえるよう努力します。被害者との示談を進め、成立した場合検察官に伝えます。

もし、示談が成立しなかった場合でも、なぜ示談できなかったのかその理由を検察官に説明します。例えば、被疑者は示談を持ち掛け謝罪の意思を示しているのに、被害者側のかたくなな態度により示談が成立しなかった場合など、そのような事情を検察官に伝え、被疑者が反省していないから示談が成立しなかったのではないということを検察官に伝えます。

そのために、検察官に面会を求めて直接事実を訴えたり、意見書を作成して検察官に読んでもらうなどの弁護活動をします。

 

【26年の検事経験を活かして】

検察官は、示談の有無、意見書の内容、既にそろっている証拠など、あらゆる証拠をすべて検討して総合的に評価します。

『起訴猶予』という理由で不起訴と判断するかどうかは、事件ごとにケースバイケースであり、一般的な基準はありません。

示談の有無が不起訴処分となる基準の一つではありますが、前科、前歴があるか、その犯罪がどの程度悪質か、示談書に「犯人を許す」という文言が入っているかどうかなど、いろいろな事が考慮されるわけです。

私は26年間の検事経験により、検察官の総合的判断について熟知していますので、ケースに応じた適切な弁護活動を行うことができます。