刑事事件コラム(刑事弁護)

釈放・保釈してほしい|場合に応じた適切な弁護活動

刑事事件コラム(刑事弁護)

目次

・釈放・保釈に向けて弁護士は何をしてくれるのか?

・逮捕➡送検➡起訴の流れに沿って、弁護活動について詳しく説明します

・検事経験を活かして

 

【釈放・保釈に向けて弁護士は何をしてくれるのか?】

➡逮捕後

弁護士は速やかに面会します。そしてよく事情を聞き、その事件の全体像を把握し、釈放(勾留請求されない)の可能性を考えます。

■取調のアドバイスをします

■被害者のいる犯罪の場合は示談を進め釈放を目指します。

■示談以外の方法でも早期釈放を目指して尽力します。 

➡送検後

■検察官による勾留請求がされた場合、裁判所に対して勾留決定をしないように上申し、釈放されるよう尽力します。

■裁判所が勾留決定をした場合には、不服申立てをします。これを準抗告と言います。

■検察官の取調の際の対処法をアドバイスします。

■不起訴となり釈放されるよう、被害者に対して被害弁償の交渉などを続け、示談を進めます。

➡起訴後

■保釈を認めてもらい、釈放されるように努力します。

 

 

【逮捕➡送検➡起訴の流れに沿って、弁護活動について詳しく説明します。】

逮捕

弁護士は速やかに面会します。

逮捕されるとまず警察署または拘置所に拘束され、その直後から取り調べが始まり、警察官から事情を聞かれます。

このタイミングでご依頼いただければ、速やかにご本人と接見(面会)し、よく事情を聞き、その事件の全体像を把握し、釈放(勾留請求されない)の可能性を考えます。

警察は逮捕後48時間以内に、身柄を拘束したままで(逮捕したままで)事件を検察庁に送るかどうかを決めます。この時点では、警察はご家族からの面会要請には応じません。(最長72時間の逮捕期間中、家族などは面会できないことがほとんどですが、弁護士なら面会することができます。)

取調のアドバイスをします

刑事事件の流れをお話しし、取り調べの際の対処法のアドバイスをいたします。

何もしていないのに逮捕されてしまったので、取り調べにおいて罪を認めていないという場合(否認事件)は、取り調べの際の適切な対処法をアドバイスいたしますのでご安心ください。

 

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送検

法律の定めにより、警察は逮捕後48時間以内に、検察庁に事件を送らなければなりません。

検察官は、事件を受けると、釈放するか勾留するかを判断します。

検察官は、身柄事件 (逮捕されている) の場合は、すぐに被疑者に会って必ず弁解を聞くことになっています。

警察が身柄を拘束してから送検するまでが、48時間

送検されてから勾留請求をするかを決めるまでが24時間

48時間 + 24時間 = 72時間

この最大72時間が、逮捕によって認められる身柄拘束時間です。

この72時間を超え、さらに身柄の拘束を続ける必要があると検察官が判断すると、裁判所に対して勾留請求をします。

 

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勾留請求をするか、釈放するか

検察官は被疑者の弁解を聞き、警察の取調での供述調書を読み、警察が集めた証拠を検討し、その結果、取調のために勾留 (身柄の拘束) を継続する必要があると判断すると、裁判所に勾留請求をします。

勾留請求するかどうかは、送検後24時間以内に決めなくてはいけません。

検察官が、これ以上身柄の拘束を続ける必要性がないと判断すると、被疑者を釈放し、在宅事件(身柄の拘束をしない)とします。

しかし、送検後すぐに釈放する例は多くはありません。

現行犯逮捕の場合であれば、事情を聞いて釈放することがあります。現行犯なので、まずは身柄を確保しますが、比較的軽い罪、例えば万引きで被害品は被害者のもとに返っており、身柄引受人もいるという場合は、身柄の確保を継続する必要がないので釈放します。

一方、逮捕状による逮捕(通常逮捕)の場合は、送検後すぐに釈放するケースはほとんどないと言ってよいでしょう。そもそも「逃げたり証拠を隠したりするおそれがある」という理由で裁判所は逮捕状を出しているので、そう簡単に、「逃げたり証拠を隠したりする恐れ」が無くなる、ということにはないからです。

ただし、逮捕してみたら重大な病気であることが分かり、治療のためには釈放せざるを得ないというような特殊な場合であれば釈放されます。

ですから通常逮捕の場合、逮捕から送検直後の段階では、弁護士ができることは限られています。被害者との示談を進めることぐらいです。

※通常逮捕とは、警察がしっかり捜査をし、証拠をそろえた上で、裁判所に逮捕状を請求し、裁判所が逮捕状を発行して逮捕することを言います。

※現行犯逮捕とは、目の前で犯罪行為が行われた場合、犯罪行為を見ていた人が逮捕するという場合です。一般人でも逮捕できます。

 

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裁判所が勾留を決定するかどうかを判断する

裁判官は、検察官から送られてきた事件記録を読み、被疑者から話を聞きます(勾留質問)。

被疑者が事実を認めない場合(否認)、裁判官は、事件記録の中に、被疑者が犯人であることを示す証拠があるかどうかを検討します。証拠がなければ勾留請求を却下します。勾留請求が却下されると釈放されます。

しかし実際には、検察官は証拠がなければ勾留請求をしないので、証拠が足りないという理由で勾留請求が却下されることはほとんどありません。

「被疑者が事実を認めない」ということは、釈放すると逃げたり、証拠を隠したりなどするのではないかとの疑いが強くなるので、ほぼ確実に勾留が認められます。

被疑者が事実を認めた場合も(自白)、裁判官は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかを検討します。そしてその恐れがないと判断すれば、勾留請求を却下します。しかし、自白している場合でも、勾留請求が却下され、釈放される例は少ないです。 

ちなみに、東京では勾留請求をした翌日に勾留質問が行われます。東京以外の都市では、午前中に勾留請求をして、午後には勾留質問が行われます。

ですから、勾留請求→勾留質問→勾留決定まで、弁護士に与えられている時間はごく短いものとなっています。

 

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勾留決定

裁判所が勾留は必要だと判断すると、その日から10日間勾留するという決定をします。これを被疑者勾留と言います。

この被疑者勾留は、検察官が延長する必要がある判断すると、さらに10日間延長することができます。

つまり、72時間以内の逮捕による身柄の拘束の状態から、10日又は20日以内の勾留による身柄の拘束の状態に移行するわけです。

なお、勾留は、法律上は10日間が基本であり、「例外的に延長することができる」と定められています。しかし延長されるケースの方が多いのが実情です。

「勾留質問」で書いたように、否認事件(逮捕された人が事実を認めない事件)では、ほぼ100パーセント勾留請求されますし、裁判所もほぼ100パーセント勾留を認めます。そして、勾留決定に対して不服申し立てを行ってもほとんど認められません。

そこで、以下では、事実を認めていることを前提として説明します。

被害者のいる犯罪の場合は示談を進め釈放を目指します。

たとえば、罪を認めている場合で、その犯罪が比較的軽い罪(万引き、電車内の痴漢など)であれば、弁護士は被害者と示談をすることで被害届を取り下げてもらい、釈放されるよう走り回ります。

被害者のある犯罪(万引き、痴漢など)では、被害者との示談が最も重要です 

しかし、逮捕から勾留請求されるかが決まるまでの、72時間以内という限られた中で、示談までもっていくのは難しいことの方が多いと思われます。

また、示談を急ぐと、かえって被害者の気持ちを傷つけてしまうことがあるので注意する必要があります。

弁護士が被害者の方の連絡先を調べる方法はありません。

検察官から、被害者の方に対して、「加害者側が示談をしたいと言っています。加害者の弁護士の連絡先をお渡ししますので、弁護士の話を聞いてみてもよいと思われるようでしたら連絡を取ってみてください。」と言ってもらうしかありません。

加害者側の弁護士に連絡を取るかどうかは、被害者の方のお気持ち次第ということです。

私の経験では、検察官は、弁護士との連絡の仲介はきちんとやってくれますし、被害者の方も弁護士とであれば話をしてみてもよいと考える人がほとんどでした。

示談以外の方法でも早期釈放を目指して尽力します。

被害者の方の怒りが大きく、示談を直ぐにはできないという場合は、弁護士は、被疑者の家族や友人などから「しっかり監督する。要請があれば必ず本人を警察に出頭させる。」といった、内容の上申書を作成してもらいます。

この上申書を検察官に提出し、引き続き身柄を拘束する必要がないと納得してもらい、釈放されるよう尽力します。

また弁護士は、検察官に直接会って、身柄拘束の必要がないことを訴えることもあります。検察官は、弁護士からの要請があれば会って話を聞くことには応じてくれます。

ところで、被害者のない犯罪(覚せい剤、公然わいせつなど)では、示談の相手がいません。

この様な場合では、その人の事情(自分の病気治療、家族の介護など)を説明できる証拠(診断書、介護証明など)を用意するとともに、家族や友人などから「しっかり監督する。要請があれば必ず本人を警察に出頭させる。」といった内容の上申書を作成してもらいます。

こうして、勾留をすることにより受ける不利益があまりにも大きく、かつ、逃げる可能性がないことを証明し、勾留請求の必要はないことを検察官に納得してもらい、釈放されるよう尽力します。

この場合でも、弁護士は検察官に直接会って早期の釈放を訴えることがあります。

 

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勾留請求されてしまったら

検察官が、勾留請求してしまった後であっても、弁護士は上記と同様に、被害弁償の交渉など示談を進めるなどの弁護活動をして、裁判所に対して勾留決定をしないように上申します。

 

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勾留決定がなされてしまったら

裁判所が勾留決定をした場合には、不服申立てをすることができます。これを準抗告と言います。

準抗告をした結果、勾留決定が取り消され釈放されることもあります。最近では、勾留決定の取消も以前よりは多くみられるようになりました。

 

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準抗告が認められなかったら

準抗告が認められず、勾留決定を取り消すことができなかった場合は、勾留請求があった日から10日間勾留されます。

例えば、検察官が1月1日に勾留請求を行い、裁判所が勾留決定をしたとすると、勾留期間は1月10日までとなります。

ただし、勾留はさらに10日間延長することができます。仮に検察官が勾留延長請求を行い、これを裁判所が認めると、1月20日まで勾留されることになります。

勾留の執行停止を請求できる場合があります。

逮捕勾留後に、重大な病気にかかっており、すぐにでも治療しなければ命にもかかわるあるいは病気が悪化することが分かった場合、勾留執行を停止することになっています。

ただし、高血圧あるいは糖尿病などのために投薬治療を受けているという程度であれば執行停止の理由にはなりません。

私の経験では、殺人犯人を通常逮捕してみたら、末期の肝臓がんと分かり、医者からは「来週手術しないと命の保証はできません。」などと言われたので、勾留執行を停止し、手術を受けてもらったことがあります。

手術が終わり執行停止の理由がなくなり次第、勾留、つまり身柄拘束が再開されます。

勾留の取消請求をする場合があります。

勾留期間中に勾留理由がなくなれば、取り消し請求を行うことになります。

勾留理由がなくなるとはどんな場合かというと、例えば、真犯人が分かった場合や、証拠の収集も終わり逃亡の恐れもなくなったという場合です。

いずれも極めてまれであり、勾留の執行停止や取消請求が実際に行われることはあまりありません。

 

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検察による取調

検察官は、処分を決めることが主な仕事です。警察から送られた記録を読み、処分を決めるための情報が足りないと思った点について、警察に補充捜査を行ってもらいます。

そして、被疑者を検察庁に呼んで取調をします。 

また、被害者の方から事情を聴くこともあります。

検察官の取調の際の対処法をアドバイスします。

検察官による取調べは、もっぱら処分を決めるために行います。

したがって、取調べで尋ねる内容はケースによって異なります。

私は、長年の検事経験から、検察官がどのような問題意識で取調べに臨むのかも熟知していますので、的確なアドバイスを行うことができます。

 

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検察官による処分決定

■不起訴となり釈放されるよう、被害者に対して被害弁償の交渉などを続け、示談を進めます。

最大20日間の勾留期間内に検察庁による処分、起訴か不起訴かが決定します。

起訴されれば裁判となります。

不起訴となれば釈放され、二度と同じ嫌疑で逮捕されることはなくなります。

なお、検察庁が処分を決めないまま釈放することもあります。これを「処分保留で釈放」といいます。

この場合は、後に不起訴処分とすることがほとんどです。 

 

起訴されてしまったら

釈放されないままであれば、保釈を認めてもらい、釈放されるように努力します。

保釈を得るためには裁判官に何をどう訴えれば良いのか、これも、ケースバイケースであり、一般的な基準はありません。

法的には、証拠を隠したりねつ造したりすることはないということが保釈の条件ですが、裁判官に対して具体的に何をどう訴えれば保釈が認められるのかについては、やはりケースごとに違うのです。

私は、長年の検事としての経験により適切な対応をすることができます。

保釈の際は、裁判所に保釈保証金を預けます。

裁判に出廷しない場合に保証金を没取することにより、逃亡を防ごうとするための制度です。

ですから、保釈金の金額は、事案と経済状況によって大きく異なります。

その人にとって、没取されることが大きな痛手となるであろうという金額とするからです。たとえば、堀江貴文氏の場合は3億円でしたし、小室哲哉氏の場合は3千万円でした。

通常は、最低でも150万円程度で、覚せい剤事件の場合は200万円から300万円程度です。

 

 

【検事経験を活かして】

以上のように、釈放、保釈されるには、短い制限時間の中で最善の対策を取る必要があります。

私は元検事の弁護士であり、検事生活26年のほとんどを捜査・裁判の現場で過ごしました。

逮捕後の警察の動き、検察庁の処分の基準、裁判所の判断の基準などの、刑事事件の実務について熟知していますので、適切な弁護活動をすることができます。是非、早めにご相談ください。

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  • 逮捕されている場合は、ご家族からお電話をいただくかと思います。ご家族の方と受任の確認ができましたら、受任後24時間以内に接見いたします(接見とは、逮捕、勾留されている人に面会に行くことです)。