刑事事件コラム(刑事弁護)
起訴とは|不起訴とは
■『起訴』とは、正式な裁判を行うよう請求する、という意味です。
起訴されると裁判を行い、裁判所が有罪か無罪かを判断し、懲役何年の実刑とか、懲役何年、執行猶予何年、というような量刑が言い渡たされます。
なお、罰金刑の場合には略式起訴という制度があります。
これは、被告人が罪を認めていて、検察官が罰金を求刑する場合にのみ認められているものです。
この場合は、法廷を開くことなく、裁判官が記録だけ読んで判決をします。
ただし、判決後2週間以内であれば被告人は、正式裁判を申立てることができます。
■『不起訴』とは、裁判を行わない、とする判断のことです。
不起訴となると、身柄事件(逮捕されている場合)では釈放されます。
在宅事件(逮捕されていない場合)は、以後警察や検察に呼ばれることはなくなります。
身柄事件 の場合、検察官は、勾留期間内に処分(起訴か不起訴)を決めます。
(処分保留ということも稀にはありますが、これについては別のコラムに書きます。)
また、勾留期間の10日あるいは20日の間は、勾留に耐えられないほどの事情(緊急手術の必要があるなど)がない限り、釈放されることはありません。
在宅事件の場合は、起訴か不起かを決める時間制限はありません。
【不起訴となった後、起訴されることがあるのか?】
不起訴処分は、検察官の裁量によって行われるものですから、検察官が方針を変えて起訴することができます。
つまり、いったん不起訴処分とした事件であっても、検察官は、事情が変われば起訴することができます。
例えば、証拠が足りないことで『嫌疑不十分』という理由で不起訴処分としていた事件で、新たに目撃者が出てきたとか、証拠となる文書が見つかったなどによって犯罪を立証する証拠がそろったという場合、起訴することになります。
『起訴猶予』という理由で不起訴とした場合であっても、例えば、万引き事件で不起訴処分とした後にも同じような万引き事件を何度も繰り返していた場合には、いったん起訴猶予とした事件を含めて起訴することもあります。
この場合、 起訴猶予にした以前の事件も含めるので、二回目の事件とあわせると刑罰は重くなります。
ですから、不起訴処分となったというだけで喜んでいてはいけません。その後も、自らを律していくことが必要です。