刑事事件コラム(刑事弁護)
起訴猶予とは|分かりやすく説明
【起訴猶予とは】
起訴猶予とは、不起訴処分にする理由の一つです。
テレビ報道などで、「起訴猶予となりました。」と耳にすることがあると思いますが、これは、正確にいうと、「起訴猶予という理由で不起訴処分になりました。」という意味です。
起訴するに足る証拠はあるけれど、あえて起訴しない方がその人の更生に役立つと、検察官が判断した場合に不起訴、つまり起訴しないとする、というものです。
被害者のいる犯罪の場合は、被害者が許している、被疑者本人が反省している、被疑者を監督することを誓っている人がいる等の理由から起訴猶予にします。
被害者のない犯罪の場合は、既に社会的制裁を受け、事実を認め反省している等の理由から起訴猶予にします。
不起訴処分とは、「正式な裁判をしないとする」という処分ですので、不起訴処分になると、身柄事件(逮捕されている場合)では釈放され、在宅事件(逮捕されていない場合)は、以後、警察や検察に呼ばれることはなくなります。
【起訴猶予は前科とはならない】
不起訴処分になった訳ですから「前科」とはなりません。
しかし「前歴」になります。警察や検察庁では、こうした場合を「前歴」として記録します。これは法的な意味のあるものではありませんし、決して公表されません。
【起訴猶予という理由での不起訴=無罪とえるのか?】
『無罪』と言えるのは「正式な裁判をした結果、裁判所が無罪の判決を出した」という場合のみです。
『不起訴処分』とは、「正式な裁判をしないとする」という処分ですので、無罪ではありません。
ちなみに『起訴』とは、「正式な裁判を行うよう請求する」という意味です。
※起訴猶予という理由以外に、どういう場合で不起訴処分になるのか、については、
こちらのコラムをご覧ください➡ どういう場合に不起訴になるのか